セラミック矯正とは？メリットや治療の流れ、費用を解説！

2023年4月19日

歯並びをととのえる治療といえば、ワイヤーやマウスピースを用いた矯正を思い浮かべるのではないでしょうか。ワイヤー矯正やマウスピース矯正はメジャーな治療方法のため、多くの臨床実績があり、対応可能な歯科医院の数も多いです。

しかし、近年では、ワイヤー矯正やマウスピース矯正に加えて、セラミック矯正とよばれる方法も広がりつつあります。

今回は、セラミック矯正の概要や治療の流れ、費用について解説します。

セラミック矯正とは

セラミック矯正とは、どのような治療なのでしょうか。

大前提として、セラミック矯正は「矯正」という言葉が付いていますが、ワイヤー矯正やマウスピース矯正のように、歯に力を加えて移動させて歯並びをととのえることはしません。

セラミック矯正は、ご自身の歯を削って土台の形にして、土台の上から被せ物を装着して歯並びをととのえます。日本矯正歯科学会によれば、矯正歯科治療とは「矯正装置を通じて、歯やアゴの骨に力をかけてゆっくりと動かして、歯ならびと噛み合わせを治していきます」とあるため、歯が動かないセラミック矯正は矯正歯科治療に分類されません。

引用元：公益社団法人日本矯正歯科学会ホームページ

セラミック矯正のメリット・デメリット

歯を削って被せ物を装着するセラミック矯正には、どのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。

セラミック矯正のメリットとデメリットは、以下のとおりです。

セラミック矯正のメリット

まず、セラミック矯正のメリットについて解説します。

短期間で歯並びをととのえることができる

セラミック矯正の大きなメリットは、短期間で歯並びをととのえられることです。

セラミック矯正は、初めてのカウンセリングや検査から被せ物の装着まで、一般的に2～3か月ほどで完了します。ワイヤー矯正やマウスピース矯正であれば治療完了まで2～4年ほどかかるため、セラミック矯正は短期間で済ませられるといえるでしょう。

歯が後戻りしない

ワイヤー矯正やマウスピース矯正など、歯を動かして歯並びをととのえる矯正治療では、治療完了後に歯が後戻りするリスクがあります。そのため、治療後も数年間は保定期間としてリテーナーを装着する必要があります。

しかし、セラミック矯正は歯を動かさないため後戻りがなく、治療後の保定期間もありません。

痛みを伴う機会が少ない

矯正治療は、歯に力を加えるため定期的に痛みが発生します。痛みが強い期間は、思いどおりに噛むことも難しく、食事などの日常生活に支障をきたします。

セラミック矯正では歯を動かさないため、力を加える必要がありません。被せ物を装着する土台を作る際に歯を削りますが、基本的に麻酔を導入するため、少々の痛みを伴う程度で済むでしょう。

金属アレルギーのリスクがない

ワイヤー矯正では、口内に金属のブラケットやワイヤーを入れるため、金属アレルギーをもつ方には適していません。

しかし、セラミック矯正では、メタルボンドとよばれる金属とセラミックの併用物を装着する場合をのぞき、金属を使用する機会はありません。金属アレルギーの方でも、装着物の素材を選択すれば安心して治療を受けられます。

セラミック矯正のデメリット

つづいて、セラミック矯正のデメリットについて解説します。

健康な歯を削らなければならない

セラミック矯正の大きなデメリットは、健康な歯を削る必要があることです。土台となる歯は、被せ物が装着できるように削られます。

歯を削った場合や歯が欠けた場合は歯が再生しないため、セラミック矯正を行う前に、よく調べて納得したうえで治療を受けましょう。

神経を抜くケースもある

歯を削る量は人それぞれ異なりますが、大きく削る必要がある場合は歯内部の神経が露出することがあります。露出した場合は、神経を抜くケースがあります。

神経を抜いて削った歯でも、ケア次第では長期にわたり利用することが可能ですが、健康な歯と比較すると寿命が短くなるでしょう。

噛み合わせ改善の効果はない

セラミック矯正ではある程度の歯並びをととのえることが可能ですが、噛み合わせの改善効果はありません。ワイヤー矯正やマウスピース矯正では歯並びと噛み合わせが改善されますが、セラミック矯正は歯並びのみ改善されるため、噛み合わせの改善も行いたい方には向いていません。

また、セラミック矯正後に噛み合わせが悪化するケースもあるため、しっかり歯科医院を選ぶ必要があります。

セラミック矯正の治療の流れ

歯を削って被せ物を装着するセラミック矯正は、どのような流れで行われるのでしょうか。

セラミック矯正の手順は、以下のとおりです。

カウンセリング、治療プランの作成

まず、歯科医院でカウンセリングを受けます。ご自身のお悩みやご要望などを医師に伝え、医師からは治療の詳細について説明があります。

もし、虫歯や歯周病などの治療すべき疾患が見つかれば、セラミック矯正の前に治療することになるでしょう。セラミック矯正を行うことが決まったら、医師から治療プランや見積もりの説明があります。

土台形成

土台を作るために、歯を削って形を整えます。

もし、歯が十分に残っていない場合は、人工の土台を設置します。

仮歯設置

被せ物ができるまでの間、見た目に支障がでないよう仮歯を装着します。土台の歯と被せ物の境目が、すき間なく滑らかになるように調整します。

被せ物の製作、装着

患者さまの希望に沿って素材や形状が決められ、被せ物が製作されます。完成したら装着して、しっかり安定しているか確認します。

セラミック矯正ができない方

短期間で歯並びを改善できるセラミック矯正ですが、治療を受けることができない方もいらっしゃいます。

セラミック矯正ができない方は、以下のとおりです。

歯がない方

セラミック矯正は、ご自身の歯を土台とするため、歯がなければ被せ物を装着できません。

妊娠中の方

セラミック矯正は、歯を削るために麻酔を使用します。妊娠中で麻酔を使用できない方は、セラミック矯正に向きません。

歯並びや噛み合わせが悪すぎる方

セラミック矯正は、どのような歯並びでも改善できるわけではありません。セラミック矯正は治療前の歯並びの歯を土台とするため、軽度の歯並びであれば改善可能です。

しかし、どの程度まで治療可能かは医師の判断によるため、セラミック矯正を検討されている方は対応する歯科医院で相談しましょう。

セラミック矯正にかかる費用

セラミック矯正の概要やメリットやデメリットを説明しましたが、費用はどのくらいかかるのでしょうか。セラミック矯正は、保険が適用されないため全額自費となり、被せ物に使われる素材によって費用も変わります。

以下、各素材の費用相場と特徴をまとめてみました。

＜セラミック矯正における各素材の費用相場と特徴＞

素材	費用相場（1本あたり）	特徴
オールセラミック	8～20万円	天然歯に近い審美性をもつため、見た目を気にする方が使用する傾向がある
ジルコニア	8～15万円	耐久性が高く割れにくいが、審美性はオールセラミックに若干劣る
メタルボンド	8～15万円	内側に金属、外側にセラミックを使用しており、耐久性があるが金属アレルギーの方は使用できない

セラミック矯正で治療した歯が割れることはある？

セラミック矯正は、被せ物を装着したあとも、破損などに気をつける必要があります。

被せ物は、歯ぎしりや強い衝撃などが原因で割れることがあり、小さな破損から大きな破損までさまざまなケースがあります。

小さな破損であれば、歯科医院で専用修理キッドを用いて修復可能です。大きく破損した場合は修理できないことが多く、再製作が必要となるでしょう。生活習慣が原因で割れたケースは、より強度の高い素材に変更して再製作することも多いです。

セラミック矯正した歯を長持ちさせるためのコツ

セラミックを使用した被せ物は、一般的に10～20年で交換されるケースが多いです。被せ物の劣化が遅ければ、その分長持ちするため、日々のケアや意識が大切だといえます。

セラミック矯正した歯を長持ちさせるためのコツは、以下のとおりです。

継続的な口内ケア

被せ物を長持ちさせるためには、日々丁寧な歯磨きを心がけ、継続的な口内ケアが大切です。できる限り歯垢や歯石の蓄積をふせぎ、虫歯や歯周病のリスクを下げましょう。

定期的なメンテナンス

セラミック矯正を終えたあとも、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けましょう。医師により天然歯との適合状態、噛み合わせなどに異常がないか診てもらえます。

ふだんの歯磨きで落としきれない汚れの除去も行ってもらえるため、数か月から半年に一度は歯科医院へ定期診断に行くことが大切です。

マウスピースの使用

ふだんの生活で歯ぎしりや食いしばり癖がある方は、被せ物の寿命が短い傾向にあります。就寝前にマウスピースを装着することで、被せ物へのダメージを軽減できます。気になる方は、歯科医院で相談しましょう。

まとめ

今回は、セラミック矯正の概要やメリットとデメリット、治療の流れなどを解説しました。

セラミック矯正はご自身の歯を削って土台にし、セラミックなどの被せ物を装着します。セラミック矯正は、短期間で歯並びをととのえられる、痛みが少ないなどのメリットがある反面、噛み合わせの改善ができない、軽度の歯並び改善しかできないなどのデメリットもあります。セラミック矯正の費用は、被せ物の素材によって異なるため、ご自身の希望に沿った選択をしましょう。

セラミック矯正をご検討されている方は、秋葉原歯科にお気軽にご相談ください。