根管治療はしないほうがいい？メリット・デメリット・治療内容を解説

2024年9月7日

歯科の治療ではしばしば根管治療という治療が行われます。根管治療は、歯の根の治療や歯の神経を抜く治療などと表現されることもあります。

根管治療をすると、歯自体が脆くなるため「しないほうがいいのではないか」と思う方がいますが、果たしてそうなのでしょうか。

今回は、根管治療はしないほうがいいのか解説します。根管治療のメリットやデメリット、治療の内容についても詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

根管治療はしないほうがいい？

結論からいうと、根管治療は必要であればしたほうがいいです。根管治療が必要なのにも関わらず、根管治療をしないまま放置すると状態が悪化する可能性があります。

しかし、根管治療をしなくても、経過観察できる状態であれば、無理に行う必要がないケースもあります。歯科医師に相談のうえ、治療を進めていきましょう。

根管治療が必要なケース

根管治療が必要になるケースは、主に以下の4つです。

歯髄炎

歯髄とは、神経や血管が通った歯の内部にある組織です。虫歯が大きくなり歯髄にまで進行すると、歯髄炎と呼ばれる状態になります。ズキズキと痛みがある状態です。この状態になると、歯の神経を除去する根管治療が必要になります。

根管治療をせずに放置すると、神経が死ぬ可能性があります。神経が死ぬと痛みはなくなりますが、歯の根の先のほうまで炎症が広がる可能性があるでしょう。

歯髄壊死

歯髄壊死とは、歯の神経が死んでしまっている状態です。すでに痛みはなくなっていることが多いです。歯髄炎を放置したり、歯をぶつけたりしたときに、歯髄壊死を起こすことがあります。

回復することはないので、根管治療が必要です。放置すると、歯の根の先のほうまで炎症が広がります。

根尖性歯周炎

根尖性歯周炎とは、炎症が歯の根の先にまで広がっている状態です。根の先に膿が溜まることもあります。放置すると顎骨へと炎症が広がる可能性があるため、根管治療が必要になります。

すでに根管治療を行なった歯が根尖性歯周炎を起こしていることもあります。痛みなどがなければ、すぐに根管治療をせず、歯科医師の判断により経過をみることもあるでしょう。

歯の破折

事故や外傷などによって歯が折れた場合にも、根管治療が必要になるケースがあります。歯が折れたときは、状態によっては抜歯になりますが、歯を残せる場合には根管治療が必要になることが多いでしょう。

歯髄が露出していない軽度の割れであれば、修復治療のみ行うこともあります。

根管治療のメリット

根管治療をするメリットは、以下の3つです。

自分の歯を残すことができる

根管治療をすることで、自分の歯を残すことができます。本来抜歯が検討される状態の歯でも、根管治療をすることで抜歯を回避して、自分の歯が残せるようになります。

痛みを取り除くことができる

虫歯が歯の神経にまで達して歯髄炎になっている場合には、強い痛みが出ていることが多いでしょう。人によっては夜も眠れないくらいの痛みを感じることがあるかもしれません。根管治療をして歯の神経を抜くことで、痛みを取り除くことができます。

病巣を取り除くことができる

歯の根の先が感染を起こしている場合、根管治療をすることで、病巣を取り除くことができます。そのため、自分の歯をできるだけ長く残すことに繋がります。

根管治療のデメリット

根管治療によって歯を残すことができるのは大きなメリットですが、デメリットもあることを知っておきましょう。根管治療のデメリットは、以下の4つです。

歯が脆くなる

根管治療によって神経が取り除かれた歯は、栄養が行き渡らない死んだ歯の状態になります。そのため、歯自体が脆くなり、割れたり欠けたりしやすくなります。結果的に歯の寿命は短くなる可能性が高いといえるでしょう。

歯を大きく削る必要がある

根管治療をするためには、根管口という歯の根の入り口がしっかり見える状態になるよう、歯の形を整える必要があります。その際に、歯を大きく削ることがあるでしょう。破折のリスクが高まり、歯の寿命が短くなる可能性があります。

再発する可能性がある

根管治療は非常に難しい治療で、通常の虫歯治療と比較すると成功率が低い治療法です。歯の根の中に細菌が残留してしまうと、再び炎症を起こし、再根管治療が必要になります。

虫歯に気づきにくくなる

根管治療により、歯の神経を除去すると、歯から受ける感覚が失われた状態になります。痛みを感じなくなるため、再び虫歯になっても気づきにくくなります。虫歯を放置すると、抜歯が必要になる可能性もあるので注意が必要です。

根管治療をした歯は、丁寧にケアを行い、定期検診をしっかり受けることが大切です。

根管治療の内容

根管治療は、簡単に言うと歯の根の中の感染物を取り除いてきれいにし、細菌などが入らないよう充填物で密閉させるまでの治療です。次のような手順で進められます。

①局所麻酔

神経組織が残っている場合には、そのまま治療をすると痛みが出るため、局所麻酔を行います。神経がすでに死んでしまっている場合には、痛みを感じないので無麻酔で行われることもあります。

②虫歯菌に感染した神経組織の除去

虫歯菌に感染した根管内の神経組織をしっかり除去します。根管内は複雑な形をしているため、損傷させないように慎重に処置を行います。

③薬剤による根管内の洗浄

薬剤を根管内に入れて洗浄を行い、仮の蓋をします。この工程は、根管内がきれいになるまで、数日にわたって繰り返されます。

根尖性歯周炎になっており、歯の根の先に膿が溜まっている場合には、洗浄に時間がかかることがあります。根管内がきれいになるまで洗浄を繰り返します。

④根管充填

根管内がきれいになったら、根管に最終的な充填物を詰める処置を行います。

⑤被せ物の装着

根管治療後は、土台を立てて被せ物を装着します。これによって噛む機能を回復させることができます。

根管治療は保険が適用される？

根管治療は、保険適用で治療が可能です。保険が適用される場合の費用の相場は2,000円〜5,000円程度ですが、根管の数によって異なります。根尖性歯周炎で根の先まで炎症が広がっている場合には、治療に回数がかかるため、費用がもう少し高くなることがあります。

根管治療は自費治療でも行うことができます。自費治療の場合は、最新の精密機械や精度が高い材料を使って治療ができます。細菌が入り込まないように、しっかりと治療ができるため、将来的に再治療が必要になる可能性が低くなります。

自費で根管治療をする場合、歯科医院によって費用は異なりますが、5万円〜10万円程度になることが多いです。

根管治療をしないとどうなる？

根管治療が必要な状態で根管治療を行わないと、症状が悪化する可能性があります。場合によっては抜歯が必要になることもあります。ここでは、根管治療をしないとどうなるのか詳しく確認しておきましょう。

抜歯の可能性が高くなる

根管治療は、歯を残すための最後の手段です。根管治療を行わないと打つ手がなくなり、抜歯が必要になる可能性があります。根管治療を行うことで、歯の寿命が短くなるリスクがありますが、自分の歯を失うよりはよいでしょう。

根管治療が必要な場合には可能な限り治療を受け、抜歯を回避できるようにしましょう。

痛みが強くなる

歯髄が炎症を起こした状態で放置すると、どんどん痛みが強くなる可能性があります。痛みが強くなると、寝られなくなったり食事ができなくなったりと、日常生活に支障をきたすこともあるでしょう。

炎症が広がる

根管内の炎症を放置すると、歯の根の先にまで炎症が広がって根尖性歯周炎になります。さらに根尖性歯周炎を放置すると、顎骨骨髄炎・上顎洞炎・蜂窩織炎などの深刻な炎症性疾患を引き起こす可能性があります。

根管内に炎症が起こった場合、自然に治ることはありません。放置せずにしっかりと根管治療を行うことが大切です。

全身の健康に影響を及ぼす

炎症が広がると、やがて細菌が血管の中に入り込んで、全身を巡るようになります。その結果、血の塊である血栓を作ってしまい、脳梗塞や心筋梗塞という重篤な疾患を引き起こすリスクが高くなります。

たかが歯の治療と軽視せず、しっかりと治療をすることが大切です。

まとめ

根管治療が必要な状況であれば、根管治療をするのが望ましいです。根管治療をせずに放置すると症状が悪化し、最悪の場合は抜歯が必要になる可能性があります。できるだけ自分の歯を残すためにも、しっかりと根管治療を受けましょう。

根管治療をした歯は、脆くなるなどのリスクがあります。できるだけ長く使用するために、毎日のケアを丁寧に行い、定期検診を受けるようにしましょう。

根管治療をご検討されている方は、秋葉原歯科にお気軽にご相談ください。

当院では、ホワイトニングや審美歯科、虫歯・歯周病治療、入れ歯やインプラントの治療も行っています。診療案内はこちら、ご予約も受け付けておりますので、ぜひご覧ください。